2021シーズン途中からマリノスで指揮を執り、2023シーズンで3季目を迎えるケヴィン・マスカット監督が『Optus』のインタビューに応じ、外国人監督としてチームを指揮することや、近年の選手の入れ替わりについて語っています。
「“言語の壁”は複雑な話だ。ひとりの人間として、言語の違いによって人々との感情的なつながりが少し失われてしまうことが、最も難しいことだと感じている。時々そう感じながら、試行錯誤をするようにしている」
言語を超えたコミュニケーションにおいて、マスカット監督は松崎裕通訳が大きな役割を果たしていると話しています。
「幸い、私は選手たちや素晴らしい通訳と良好な関係を築くことができている。“翻訳”と“通訳”では、非常に大きな隔たりがあるからだ。
彼(松崎通訳)は私よりも遥かに怒りを表している。彼個人の判断で、だ。彼はクラブを愛していて、長い間ここにいるし、ロッカールームにやってきては、ハーフタイムに選手たちに見せる動画にも目を通している。彼はムードを察知して、それからロバート・デ・ニーロのように振る舞う。
役者モードのスイッチが入ると、彼は素晴らしい仕事をしてくれる。かけがえのない存在だ。他の人々と同じように、とても重要なんだ」
かつてマスカット監督が師事し、現在はセルティック(スコットランド)で指揮を執るアンジェ・ポステコグルー監督が、2021年末に前田大然を、そして2022年末には岩田智輝を“引き抜いた”ことについては、次のように語っています。
「不満、というのは正しい表現ではないね。
彼らの移籍についてや、クラブのロールモデルについても理解している。それは1年半前に私がマリノスに来たときからだ。
我々クラブとしても、そして我々の親会社も、我々に加わって、我々のフットボールをこなす選手たちにチャンスを与えるということを誇りに思っている。そうして成功を収めた結果、彼らは次のチャンスを求めて動いていくんだ。
このオフ(2022-23)に選手たちが移籍していったことについては、波乱だった。彼らの代わりを見つけなければいけないこともそうだし、新たにやってきた選手たちについて理解して、彼らに求められていることを見定めるという点では、スタッフ陣にとっては上達の機会になったと思っている。
これからもこの状況が続いていくし、これこそが我々のモデル。そのモデルに立って、それに向けて取り組んでいくんだ。成功に成功を重ねたければ、この繰り返しだ。だが私はそれを見つめることにしている。まあ、なんとかなるだろう」
このあとマスカット監督は、近年海外に活躍の場を移す若手の日本人選手について言及しています。シント=トロイデン(ベルギー)監督時代にも数多くの日本人選手を見てきたことに触れつつ、次のように私見を述べています。
「宣伝したい訳ではないが、今日に至るまで、(若手の日本人選手は)ヨーロッパにとって比較的安いマーケットになっている。ひとつ言わせてもらうと、私はちょっと気が進まない。毎度、選手たちを失ってしまうからだ。
だが、それは次の世代の選手たちにチャンスを与えるということでもある。マリノスには若手世代のアジアカップで先発し、日本のためにプレーする経験を積んでいる選手がいる。次のオリンピックでキャプテンを務めるであろう選手が、我々のスカッドにいる。それを前向きに捉えているし、満足もしている。
そして、先程も言ったように、親会社である日産は、マリノスにやってきた選手たちがチャンスを得ることと、彼ら自身にとってより良い機会につながっていくことを誇りに思っている」